風邪の引き始めに葛根湯?効果のある飲み方とは


インフルエンザやウイルス性胃腸炎などが猛威をふるっています。

その中で多いのが、「風邪だと思って早めに葛根湯を飲んだんですが、駄目でした。」

というもの。

単純に考えると、葛根湯の効果が弱いんじゃないかと思いがちです。

しかし、実は葛根湯の飲み方が間違えているかもしれません。

そもそも、葛根湯が効く症状と、効かない症状があるのです。

今回は、看護師の視点から、葛根湯が効く症状を解説しようと思います。

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葛根湯ってどんな薬?

そもそも、葛根湯とはどのような薬かご存じでしょうか。

「風邪薬」と答える方もいるでしょう。
その答えは、半分正しくて半分間違えています。

葛根湯の解説の前に、風邪の解説をかるく。

「風邪」といわれて、思い浮かべる症状はなにがありますか?

頭痛、咳、鼻水、腹痛、下痢、嘔吐・・・・・・。

たくさんありますね。
しかし、このような症状が一気に襲ってくることはマレでしょう。
これらを引き起こす原因はウイルスであり、その数は文献にもよりますが400種類以上存在するといわれています。

その中には、インフルエンザウイルスやヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの有名なものも含まれます。

ウイルスにより引き起こされる症状は様々ですから、「この症状が出たらこのウイルス」とは、なかなかいえないわけです。

そして、タミフルを代表とする抗インフルエンザウイルス薬は、難しい言葉で「抗ウイルス薬」とよばれます。
これは、ウイルスをやっつけることのできる特殊な薬で、数えるほどしか種類がありません。

つまり、風邪の原因であるウイルスを殺す特効薬が存在しないのです。

では、風邪の治療はどのように行われるのでしょうか?

風邪の治療法

対処療法

風邪は、鼻水や咳、ノドの痛みやだるさなどを引き起こします。

これは、ウイルスが身体の中に侵入し、それを追い払おうと身体の中にいる免疫細胞が戦っているのです。
免疫細胞が勝利すれば、風邪は治ます。
しかし、免疫細胞が勝利するまでは、症状に苦しめられることを意味します。

そこで、免疫細胞が戦っているまでの間、咳をしずめたり、熱を下げたり、痛みを和らげたりするような薬を使用します。
これを症状に応じた治療ということで、対処療法といいます。

この説明で理解できた方は賢いです。
なにかといいますと、
・風邪自体を治すのは免疫細胞
・免疫細胞が戦っている間、症状が出る
・薬を使用して症状を抑えることを対処療法という。
➡戦っている証の症状をおさえてしまうのだから、戦いが長引く可能性がある
ということなのです。

免疫力を支える治療

Aさん:「最近疲れがたまっているのか、風邪を引きやすいの」

Bさん:「あらぁ、免疫力が落ちているのかしらね」

Aさん:「ゆっくり休めれば良いんだけど」

Bさん:「そうね。あと身体を温めて、しっかりとご飯を食べることね」

こんなやりとりを聞いたり、見たり、あるいは言ったりしたことがある人はいませんか。

この会話の中で、すでに免疫力を支える治療法は述べられてしまっているのです。

免疫細胞が風邪と戦っている間、様々な症状が出ます。

そのため、身体は多くの体力を消耗します。
持久戦です。

そのような症状があるときに、仕事や運動などを行うとどうなるでしょうか。
免疫細胞が欲しているエネルギー(体力)がからっぽになり、戦えなくなってしまうのです。

思う存分戦えない環境下で「さっさとやっつけろ」というのは、いささか理不尽ではないでしょうか。

普通の会社でそれをやったら、パワハラで訴えられかねません。

そもそも、風邪をひくとどうしてだるさがでるか、というと、身体自体を休ませて体力を温存して欲しいというサインなのです。

風邪における葛根湯の存在意義って?

ここで、はて?と気づいた方もいるでしょう。

・対処療法しか、薬を使用した治療法がない。
・対処療法は、治療期間が長びく可能性がある。
・漢方はつまり無駄ということ?

そう。ここで早合点してはいけません。
漢方薬を「対処療法」として用いるから、効く、効かないの話になるのです。

漢方薬を風邪でもちいるときは、免疫を支えたい、増強したい、そんなときなのです。

漢方薬の始まり

西洋医学は、実際に身体を解剖し、どうしてこのような症状が出ているのか、何が悪さをしているのか、という点に着目し発展していきました。
このような治療法を原因療法といいます。

それに対し、東洋医学はこのような症状、このような体型、このような正確には、このような薬が効果があるという「症状」に着目し発展していきました。
このような治療法を「対症療法」といいます。

え!さっきの、対処療法とかわらないじゃないか!と感じる方もいると思います。
しかし、対症療法の場合、症状はもっと細かく区別されているのです。

たとえば、首筋がはるような頭痛とか、
飲み込み時に、のどに詰まっているような違和感があるとか、
なんとなく、お腹が渋るような感じがするとか。

「頭痛」「咽頭痛」「腹痛」ではないのです。

そうすると、西洋医学では頭痛に対しては1種類の薬が処方されるかもしれませんが
東洋医学では、そのような頭痛にはこの漢方、このような頭痛にはこの漢方、と多くの戦略が組み立てられるのです。

それを、体質や症状の出方から見極めて選択するのです。

したがって、葛根湯も葛根湯の効果のある症状や体質でなければ効かないということです

葛根湯に効果のある症状と体質とは

中国の有名な漢方の本に「傷寒論」というのがあります。
このなかに、効果のある生薬の組み合わせがそれぞれ述べられています。

組み合わせだけではなく、どのようなものに用いるべきなのか、が書いてある非常に便利な本なのです。

葛根湯についてはこのように述べられています。

「太陽病、項背強、几几、汗無、悪風、葛根湯主之」
(こちらより引用:http://mumon.org/shokanron02.html

太陽病、項背(こうはい)強(こわ)ばること、几几(しゅしゅ)、汗(あせ)無く、悪風(おふう)する者は、葛根湯之を主る。

こうすると、なんとなくわかりますか?

太陽病というのが、結構大切なのですが、頭が痛くなってきて、寒気がして、あれ?風邪引いたかも?
という「風邪の引き始め」の症状のことをいいます。

項背強とは、首から肩にかけて張るような感じがすることをいいます。
几几とは様々な解釈がありますが、「後頭部から背中にかけて強直し、まるで一本の柱のようになっていることである」といっているひともいます。

汗なく、寒気がすると。

まとめ

葛根湯が効く症状は
・頭がいたくなってきて、ぞくぞくする、風邪ひきそー!
・首から背中まではっちゃって、一本の柱みたいだ。
・汗は全然かかないし、寒気もする。

そんなときに飲みましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

マツイ ケンジ

救命センターの看護師。英国型のナーシングホームをやりたい。アロマなどを用いて西洋医学一辺倒ではないケアを提供することが目標。学園祭で講演会を1人で企画運営し成功させた。アトピー性皮膚炎の患者指導も研究している。